オリエンタルランド「カスハラは入園拒否」スタバも方針発表。従業員を守る企業の動き加速

オリエンタルランドがカスハラに該当すると判断した場合に、当グループのサービスおよび施設の利用を拒否する方針を発表したほか、スターバックスも従業員保護のための対応方針を発表するなど、企業のカスタマーハラスメント(カスハラ)対策への取り組みが加速しています。
従業員の安全確保と健全な事業運営のため、カスハラへの毅然とした対応は今や企業の重要課題です。
本記事では、オリエンタルランド・スターバックスの事例を紹介するとともに、他社の動向や対策強化の背景・企業が具体的に取るべき対策まで解説します。
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資料をダウンロードするオリエンタルランド:「サービス利用拒否」を明記、毅然とした姿勢へ
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、2025年4月18日にカスタマーハラスメントに対する基本方針策定を発表し、カスハラへの対応策を明確化しました。
方針では、従業員の人格や尊厳を傷つけ、就業環境に悪影響を及ぼす社会通念上不相当な要求や言動に対して、毅然とした態度で対応するとしています。
方針では、カスハラに該当し得る行為として、以下の具体例を挙げています。
カスタマーハラスメントの対象となる主な行為
- 身体的・精神的な攻撃(暴行、脅迫、侮辱、誹謗中傷など)
- 威圧的、差別的、性的な言動
- 執拗または長時間にわたる電話、不退去などの拘束行為
- 土下座の要求、過度な謝罪・補償の要求
- 従業員への個人攻撃、盗撮、つきまとい行為
- SNS等での誹謗中傷
参照:OLC グループカスタマーハラスメントに対する基本方針|株式会社オリエンタルランド
上記のような行動が、カスハラに該当すると判断した場合、原則として以降の顧客対応や同グループが提供するサービスおよび施設の利用を断る「サービス利用拒否」を明記しています。
悪質なケースでは警察への通報や法的措置も辞さない構えで、従業員保護と快適な施設運営に向けた企業の断固たる姿勢を示しています。
スターバックス:パートナーの安全と健康を最優先。カスハラ対応方針を策定
スターバックス コーヒー ジャパンは、2025年4月3日に「カスタマーハラスメント対応方針」を策定・公表しました。全ての顧客とパートナー(従業員)が安心して過ごせる空間づくりと、パートナーの安全な就労環境を守ることを目的としています。
方針では、カスハラを「お客様からのお申し出や言動のうち、その内容や要求手段が社会通念上不相当なものであって、それによりパートナーの就業環境が害されるもの」と定義。具体例として、以下のような行為を挙げています。
- パートナー(従業員)の個人情報を収集したり、SNSなどで公開する行為
- 差別的な言動
- 長時間にわたる執拗なクレームや不当な要求
- 人格を否定するような言動
- 暴言・暴力・脅迫などの行為
- 合理的な理由なく商品やサービスを拒否する行為
- その他、パートナーの心身の健康や安全を脅かす行為
参照:スターバックス コーヒー ジャパン カスタマーハラスメント対応方針について
カスハラ行為に対しては、注意喚起や対応の中止、複数名での対応に加え、警察への相談や通報、店舗利用の断りを含む毅然とした対応を取るとしています。
ミニストップ、ライフ、ダイソーも続く。広がる企業のカスハラ対策
オリエンタルランドやスターバックス以外でも、カスハラ対策を強化する動きが広がっています。
コンビニ大手のミニストップは2025年3月に方針を策定し、カスハラの定義や具体例を明示しました。スーパーマーケットのライフコーポレーションも2025年2月に基本方針を制定し、社内体制整備と組織的対応を強調しています。
100円ショップ「ダイソー」を運営する大創産業も、2025年3月に警察や弁護士との連携を含む厳正な対処方針を定めました。
企業名 | 方針発表・策定時期 | 方針の概要 |
---|---|---|
ミニストップ | 2025年3月 | カスハラの定義・対象事例(SNS投稿、長電話など)を明示。警察などへの相談を含む対応 |
ライフコーポレーション | 2025年2月 | 社内相談体制の整備、従業員向けの研修など組織的対応を強調。悪質な場合は法的措置も検討 |
大創産業(ダイソー) | 2025年3月 | 警察や弁護士との連携、入店拒否や取引停止を含む厳正な対処方針。従業員向け研修や相談窓口も設置 |
各社の方針からは、個人任せにせず組織全体で毅然と対応するという共通の姿勢が読み取れます。
顧客接点の多い業界を中心に、カスハラ対策は企業経営における重要な課題として認識されつつあるといえるでしょう。
企業がカスハラ対応を急ぐ背景は?
企業がカスハラ対策の強化に乗り出している背景には、複数の要因が見られます。
背景の一つが、深刻化する人手不足と従業員の定着率の低下です。
従業員の心身の安全を守り、安心して働ける環境を提供することは、優秀な人材を確保し、離職を防ぐ上で不可欠な経営課題となっています。カスハラは従業員のモチベーション低下や離職の直接的な原因となり得ることから、対策の優先度が高まっている状況です。
加えて、カスハラ対策を法的に義務付ける動きが本格化している点も大きな要因です。
東京都をはじめとした自治体がカスハラ防止条例を施工する動きが相次いでいるほか、2025年3月に閣議決定された労働施策総合推進法などの改正案が成立・施行されれば、企業規模にかかわらず全ての企業にカスハラ防止措置の整備が義務付けられます。
こうした状況を受け、企業はカスハラについて具体的な対策を進める必要性に迫られています。
カスハラから従業員を守るために企業ができること
従業員をカスタマーハラスメント(カスハラ)から守るために、企業は組織的な対策を講じることが重要です。
東京都の「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を参考に、具体的な取り組みを紹介します。
- カスハラ対策の対応方針の明確化と周知・啓発:カスハラ対策に関する基本方針や基本姿勢を明確にした上で、社内だけでなく、顧客など外部にも周知します。
- カスハラを行ってはならない旨の方針の明確化と周知:自社従業員が取引先などに対してカスハラ行為を行わないよう、企業としての方針を定め、社内に徹底します。加害時の対処ルールも明確化します。
- 相談窓口の設置、適切な相談対応の実施:従業員が安心して相談できる窓口を設置し、その存在を周知します。人事部門などとの連携体制を整え、相談内容に応じて適切に対応します。
- 被害従業員への配慮:相談者のプライバシー保護を徹底し、相談による不利益な扱いを禁止します。被害者のメンタルケアや必要に応じた就業上の配慮も行います。
参考:カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)|東京都
これらの対策例を参考に、自社の状況に合わせてカスハラを未然に防ぎ、発生時にも適切に対応できる体制構築を進めましょう。
電話でのカスハラ対策ならIVRy
従業員が安心して働ける環境をつくるには、組織的なカスハラ対策が不可欠です。
対面だけでなく、見過ごされがちな「電話口」でのカスハラにも、有効な対策を講じたいものです。顔が見えない状況では、感情的な言葉や不当な要求をエスカレートさせやすく、企業として具体的な対策が求められます。
こうした電話のカスハラ対策に有効なのが、電話自動応答サービス「IVRy(アイブリー)」です。IVRyは、かかってきた電話に対し「〇〇のご用件は1番を押してください」のように自動音声で一次対応を行うシステムです。

IVRyは、以下のようにカスハラ対策に貢献します。
- 担当部署へのスムーズな振り分け:件に応じて適切な部署へ自動で電話を振り分けます。お客様の待ち時間短縮や、たらい回しによる不満の発生を防ぎます。
- 全通話の自動録音:万が一のトラブル発生時、客観的な記録として会話内容を確認できます。
- 対応履歴の記録・共有:電話番号ごとに過去の対応履歴が残るため、担当者が不在の場合や変更があっても、スムーズな情報共有が可能です。
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